2010年日本映画ベスト5を発表します。

5位 春との旅
トップムービー2010ベスト日本映画5位に輝いたのは、仲代達矢を主演に起用した苦くも秀逸な余韻を残す社会派・感動ロードムービー『春との旅』でした。

監督は『バッシング』で2005年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品となった『歩く、人』などの小林政広氏。脚本・原作も手がけ、十年越しで実現した企画。

オールロケーションの映像は順番に撮影にされ、美しさが際立っています。リアルでペーソスに満ちた本作は名優仲代達矢の新たな代表作となったのでは。

3位 パーマネント野ばら
トップムービー2010ベスト日本映画3位になったのは、『パーマネント野ばら』。西原恵理子ワールドの映画化作品としては、『いけちゃんとぼく』『女の子ものがたり』に続く三度目。田舎のパーマネント店「野ばら」を舞台にし、男運がつくづく悪く、それでも情けない男たちを見捨てきれない女性たちが数多く登場します。

一見元気をくれる人生賛歌にも見える作品ですが、そんな単純な作品でないことは、ラストまで見れば瞭然。それでも元気をくれる人生を明るく生きるための薬になるのは間違いないところ。

3位 おかんの嫁入り
トップムービー2010ベスト日本映画三位のもう一本は、『おかんの嫁入り』がランクイン。『酒井家のしあわせ』で長編デビューを飾り、絶賛された呉美保監督は、お涙頂戴になりかねない素材を、演出過剰にならない絶妙なバランスで、母娘の愛情を感動をこめて描いています。

2位 酔いがさめたら、うちに帰ろう。
『酔いがさめたら、うちに帰ろう』が2位に輝きました。人気漫画家西田理恵子さんの元夫で戦場カメラマンの故・鴨志田穣氏の自伝的小説が原作。『サード』、『もう頬づえはつかない』、『橋のない川』など23本以上の作品を手がけた76歳のベテラン監督東陽一氏が切なさ、おかしさを微妙に交え鮮やかに描いています。

戦場カメラマンは過酷な現実を見ざる得ない職業。そのストレスに耐えられなかったのか、主人公塚原は、アルコール依存症で離婚、十回の吐血、繰り返す入退院、暴力などで精神病院に入院することになります。

その精神病院の描写がリアルです。塚原は回復し、再びうちに帰ることができるのか、人間の弱さ、たくましさを淡々と描き、共感を誘う必見作。

1位 悪人
トップムービー2010ベスト日本映画ランキングベスト1に輝いたのは、『悪人』となりました。芥川賞作家の吉田修一の原作を、『フラガール』で高い評価に輝いた李相日氏が監督。

誰もが衝撃を覚え、複雑な感情にとらわれるラスト、奥行きを感じさせる人間描写と舞台。みどころたっぷりの傑作映画です。